手績みの糸が奏でる、涼やかな光の記憶。
沖縄県宮古島。この島で連綿と受け継がれてきた「宮古上布」は、原料となる苧麻(ちょま)の栽培から、一反の布として完成するまで、気の遠くなるような手仕事の積み重ねによって生まれます。 「最高級の麻織物」と称されるその背景には、人知を超えた職人の執念が息づいています。
極細の手績み糸と、琉球藍の深み。
熟練の指先が、苧麻を一本ずつ爪で裂き、繋ぎ合わせる「手績(う)み」の工程。そうして生まれた極細の糸を、琉球藍の深い色彩で染め上げ、緻密な絣(かすり)模様へと織り上げていきます。手織りならではの僅かな揺らぎを湛えた絣は、平面であるはずの布に、驚くほどの奥行きと情緒を与えます。
砧(きぬた)打ちがもたらす、至高の輝き。
宮古上布を語る上で欠かせないのが、仕上げの「砧打ち」です。織り上がった布を糊付けし、木槌で丹念に叩き締めることで、表面にはまるで蝋引きされたかのような特有の光沢と、しなやかな強さが備わります。 手に取った際の薄さと軽さ、そして袖を通した瞬間に肌を滑るひんやりとした涼感は、まさに夏を慈しむための格別な悦びと言えるでしょう。
極細の糸が放つ静かな輝きと、凛とした気品。 夏のきもの愛好家が最後に辿り着くとされる、手仕事の極致を。 ぜひ、貴方様のお手元にてその真価をお確かめください。



